二 億 円




漆黒の長くて美しい髪


すらりとした身体に真っ白な肌


真っ黒のワンピースが色っぽさを際立てていた。




そして何より、私を真っ直ぐに見据えた瞳。




決して好感を抱いているようには見えなかった。



コツコツとハイヒールの音をたて、視線を逸らすことなく近づいてくる姿に


私の中の狂った欲求が疼き出した。





「あんた、固定の女は作らないんだってな。何様?とっかえひっかえ色んな女抱いて、何が満足なんだよ。ヤリタイだけならヘルスにでも行きゃいいだろう?」




人生で初めて、女に嫌悪感を示された時でした。




「ちょっ…刹那ちゃん辞めなよ!!」

「彌生くんに失礼よ!!」



刹那を止めに入る女共と、チラチラと私を見ながら気遣いをする女共で周りはざわつくばかり。




「刹那、さん?と言うのですか。初対面でいきなりそのような事言われても…」


少し困ったように、刹那さんを見ると、先程よりもさらに嫌悪感を抱いた目で睨み付けられる。



「は?」



「………え?」