二 億 円


………



「思い出すのはこのくらいにしましょう。」



目の前でうずくまったお人形さんを見つめ、そう告げる。



可哀想なお人形さん。



忘れていたほうが幸せだったでしょう


思い出したくなかったでしょう


「な、んで…私、私はっ…」



泣きたいのでしょう


けれど涙は出ないのでしょう



「私と貴女はこうなる運命にありました。


さあ、過去に捕らわれるのは今日までです。


私は貴女の全てを受け入れています。



さあ、解放させなさい。



貴女の全てを私に捧げなさい、ひなた。」