なんのアルバイトかって?


これでも一応、僕も史学者の端くれですよ。


なので、こんな僕でも一応、専門家として、松山さんがお蔵開きや骨董市で仕入れてきた骨董品に記されている裏書の解読や年代考証を頼まれるのです。

ま、たまにではありますが、とても高尚なお仕事です。

なになに……


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坂本深様:ご無沙汰しております。

本日、大掛かりな『お蔵開き』あり、お手伝いお願い致します。

無限堂店主 松山限

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僕はにわかに、色めき立ちました。


『お蔵開き』


なんて良い響きなんでしょう。


時間も内容もはっきりしないこんなメールから、僕は宝の山をトラック一杯に積み込んだ限さんの様子を想像して、独りにやけてしまいます。

そして、すかさず自転車を方向転換させ、町外れの『無限堂』へ向けて勢いよくペダルを漕ぎ出しました。