―――現在

バイクが音を立てて止まった

近くの塀の側に置くと、
澪はすぐに降りてヘルメットを取り、
波打ち際まで駆け出した

「風、生ぬるいー…べとべとする」

「お前が来たいって言ったんだろ」

澪はへへっと笑った

澪は波打ち際でしゃがんで、波が来ては戻って来ては戻って、というのを見つめていた

「浩くんさぁー…変わってないね」

「澪は…変わったね」

「いい方向に?」

「うん、キレイになった」

俺がそう言うと、澪は照れくさそうに微笑んだ

「…突然、何かあったの?」

澪の微笑んでいた表情が硬くなった



「結婚するの」




「浩くんの、知らない人と」