年上王子様とのアリエナイ××①



「何で柚子が謝るの?」

「あの人、あたしを心配してくれてるだけなの。だから」

「アイツ、恋人?」

「え?」

「ヤケに俺の事警戒してたからさ」

「そんな恋人とかじゃない」


あたし達は結婚するんだ。


でもそれをはっきり言えない自分もいる。


「そうなんだ」


自信を持って言えないよ。


「とりあえず、今日は帰るね」

ありがとう、お辞儀をしてから北原さんの元へと戻った。



「あのね、北原さん」

「うるさい、黙って」


車の中でずっと声をかけても名前を呼んでも、北原さんはずっと怒っていて。

目も合わせてくれない。


一緒にいるのに..これじゃああたし達夫婦なんてなれないよ。


「翔さん..」

小さく呟くように名前を呼んでみる。

でも

「そんな言い方したって許さない」

厳しい言葉。


低い声。

それが余計あたしを寂しくさせる。


マンションの部屋に着くとすぐにリビングに押し込まれて
ソファに無理矢理落とされる。

「何考えてんの?」


低い声。

それが余計あたしを寂しくさせる。