暫く考える素振りをしてから
「君はさ、俺を怒らせるのと、アイツを怒らせるの、どっちが怖い?」
そんな事...
「北原さんの方が怖い..」
決まってるじゃない。
「分かってるじゃんなら」
さっきよりも強く腕を引っ張る。
掴まれた腕がひしひしと痛い。
黙って背中を見つめながら
でもやっぱりどうしてもお礼を言いたいあたしは
「でもあたしはちゃんと言いたいの!今日ここに連れて来てくれてありがとうって」
北原さんの背中に話しかける。
あたしのせいで巻き込んで。
嘘か本当か分からないけど
あたしのことを初めて女の子として見てくれた、祐君に
一言言いたい。
「だからお願い、祐君の所に、行かせて」
「好きにすればいい」
北原さんはそう言ってあたしを離した。
痛いくらい掴まれていた手が離れると、急いで祐君の元へ向かう。
砂のせいで走りにくい。
ザーザーと波の音が響いてる。
「柚子大丈夫か?」
付いてる頃には少し息が上がっていて
「う、うんへい、き」
うまく喋れない。
「あのね、ごめんね?」


