年上王子様とのアリエナイ××①


暫く考える素振りをしてから

「君はさ、俺を怒らせるのと、アイツを怒らせるの、どっちが怖い?」


そんな事...


「北原さんの方が怖い..」

決まってるじゃない。

「分かってるじゃんなら」


さっきよりも強く腕を引っ張る。

掴まれた腕がひしひしと痛い。


黙って背中を見つめながら

でもやっぱりどうしてもお礼を言いたいあたしは


「でもあたしはちゃんと言いたいの!今日ここに連れて来てくれてありがとうって」

北原さんの背中に話しかける。


あたしのせいで巻き込んで。

嘘か本当か分からないけど

あたしのことを初めて女の子として見てくれた、祐君に

一言言いたい。


「だからお願い、祐君の所に、行かせて」

「好きにすればいい」

北原さんはそう言ってあたしを離した。


痛いくらい掴まれていた手が離れると、急いで祐君の元へ向かう。


砂のせいで走りにくい。

ザーザーと波の音が響いてる。


「柚子大丈夫か?」

付いてる頃には少し息が上がっていて

「う、うんへい、き」

うまく喋れない。


「あのね、ごめんね?」