そう言うと北原さんは
ぐいっと腕を引っ張って胸の中にあたしを入れた。
初めて抱きしめられたときと同じ
言い香り。
温かい体温。
「勝手なことされるとこっちが困るんだけど」
見下ろす視線が冷たい。
その視線に素直に
「ごめんなさい」
言葉が出てくる。
でも
「俺が簡単に許すと思ってる?」
そう言うとぐいっと腕を引っ張ってその場を強制退去させられた。
「おい、柚子!!」
背中から祐くんの叫び声が聞こえてきて、
そうだ
あたしまだ何もお礼も言えてない。
「北原さ、ちょっと待って!祐くんにお礼言ってきてもいいですか?」
恐る恐る聞いてみる。
「祐君?ああさっきのヤツ?」
「そう!あたし何も言わないで来ちゃって..」
「祐君ねぇ~」


