久しぶりに聞く北原さんがあたしを呼ぶ声。
ずっと呼ばれたかった
“柚子”って
優しい声で。
「北原..さん」
「こんなところで何してんの?」
こっちに近づいてくる北原さんはどこか怒っていて。
声も、いつもよりも低いように感じる。
どうして..ここにいるの?
「何って・・海を・・北原さんこそ..」
「学校サボったって連絡来たから。で。そいつ誰?もしかして早速浮気?」
「柚子?」
不安げにあたしを見つめる祐くん。
「大丈夫だから」
心配かけまいと笑顔を向けるけど。
今あたし..ちゃんと笑えてる?
「慣れ慣れしく呼ばないでくれる?この子は俺のだからさ」


