「あーストーカーって思ってる?」
顔を窺うようにあたしを見つめる祐君。
その距離はたった数センチ。
「う、うん」
「ひで~!!」
「だって・・」
「嘘嘘~、大丈夫、傷付いてないし、本当の事だから。
あ、ちなみに柚子のこともっと知りたいって思ったのも本当だよ?」
祐くん..?
「あ~見えてきたよ~海!」
さっきとは違う明るい声で窓の外を指さす。
同じようにそこに視線を向けるとそこには綺麗に光る海が広がっていた。
「すごい」
「降りてみようか」
その言葉に黙って頷く。
無人改札をでると、海の香りが漂ってくる。
海なんてもう何年来てないんだろう?
でも気持ちいい。
「イヤなこと、忘れられそう?」
黙って見つめるあたしに祐君が顔を伺うように聞いてくる。
「うん、本当に綺麗」
太陽の光がピカピカ水面を照らしていて。
空はどこまでも広がる青空。
そこには邪魔するような雲はなにひとつない。
どれくらいそうしてみていたんだろう・
あたしも祐君も何も話はしなくて。
でもなぜかそれで十分だった。
北原さんも・・この景色を見たことあるかな?
見せてあげたいな・・


