「俺は南高の一年なんだ」
ガタンゴトン
激しく動く電車。
誰も乗っていないのに
電車の音がうるさくて、自然と大きな声になる。
それでも嫌なんて思わない。
むしろこの楽しい時間がもっと続けばいい
そんな事を思っていた。
「一年ってことはじゃあ、あたしと同じ歳だ」
「まじ?」
くりくりとした大きな瞳を近づけられて一瞬びっくりする。
「しかも南高って隣じゃん」
「柚子はどこ?」
「あたしは北第一」
「おぉ~美人が多いよな~」
「何それ」
同じ歳の男の子ってどこか苦手だったんだけど、
祐君は優しくて穏やかでそれでいて話しやすい。
きっと人柄なんだろうな。
それに学校ではきっと一番モテるいに違いない。
「ところで祐君もさぼりなの?」
最初は制服を着ているから普通に学校に行くんだって思ったんだけど、
ここから先に学校なんてないし。
それに祐君の学校はここから正反対のところだ。
「うん、駅でさ柚子をみかけて~追いかけてきたの」
え?


