“君はあいつとは違う”
翔さんはそう言っていた。
「咲はあいつから逃げたんだ」
ぽつりと西山さんが零すように話を始めた。
「向こうのじいさんを説得して、何とか結婚を認めてもらって・・
でもあいつは仕事ばかりで帰って来ない日だってあった。
そして咲は裏で言われていたんだ、じいさんに。黙っていなくなって欲しいってな」
え?
おかしくない?
「でも認めてくれたんでしょう?」
あたしの質問に
「あぁ、表向きではな。でも本音ではそうは思っていなかったらしい。
あいつのいない時に何度も何度も連絡があったそうだ」
西山さんはあっさり答えてこう続けた。
「咲は次第にどうすればいいのかわからなくなっていた。
相談しようにもあいつはそのときは大学と仕事の手伝いが忙しく、
なかなか連絡がとれなくなっていた」
「そして結局はどうすればいいのか分からないまま
・・あいつは姿を消したんだ」
「え・・」
「今でもどこにいるか生きているかもわからない。
でも咲はもう・・きっともう・・」
「西山さ」
「だから俺はあいつが憎いんだ、あいつと出会いさえしなければ咲は..妹は」
西山さん..
「今回の計画もじいさんから話を聞いた時はおかしいと思ったよ。
狂ってるってな。でもあのじいさんは言ったんだ、そうまでして
翔を傍に置いておきたいってな。俺も咲を助けてやらなかったあいつが憎かったし。
じいさんも許せない。だからじいさんに従ってるフリして、二人を同時に復讐しようって思ったんだ。そうすれば咲もきっと
報われるんじゃないかって思って..でも..」


