気がつくと引っ越し作業は終了していて 業者の人もいなくなっていた。 がらんと広々としたリビングに ぽつりとあたしだけがいる。 電気もない真っ暗な部屋が 今のあたしの気持ちを映しているよう。 こんな時だからこそ 会いたいのに ちゃんと抱きしめてほしいのに。 「翔さ・・」 ぽつりと名前をつぶやくと 呪文が溶けたように こらえていた涙までが溢れてくる。 「会いたいよ・・あいた・・い」 自分の方を抱きしめて 翔さんのことを思い出す。