「次は盛岡、盛岡~お出口は~~・・」


ちょうどアナウンスの声と重なってしまった。



もう一度聞こうとしたときにはもう真正面を向いていて。

教えてくれないの・・かな。



「一つだけ教えておいてやるよ」

「へ?」


慌てて彼の方に向き直ると


「俺は咲人。西山咲人だ」

「西山・・さん」

「咲人でいい」

「いえ、西山さんで!!」

「だから名前で呼んでもいいって」

「いいえ!!何者か分からないので名字で呼ばせてもらいます!」

「うざいな~あんた」



そういいながらあたしに視線を移して

目があって数十秒

先に限界を超えたのは西山さんだった。



「結構頑固なのな、お前」

そういってあたしの頭を優しく撫でる。

「西山・・さん?」

「お前みたいに変わらない気持ちがあいつにもあったらな・・」