何も分からない。

どうすればいいか分からないまま車へと戻る。


この広い場所で探すのは困難だし、

これから大事な取引先との契約もある。


スーツから取り出した携帯にもう一度かけてみても

コール音がするだけで、柚子の声は聞こえない。




「翔さま、お電話です」

既に車に乗りこんだ榊が携帯を俺に渡す。


「電話?誰だ?」

「一昨日泊まったホテルからです。清掃員が掃除中に机の中から紙が入ってきたらしく・・」

「紙?なんの?」

「それが・・離婚届なのですが..」