お母さん・・
「そして少しずつ夫婦っていう家族になっていくのよ」
「柚子。分かる?」
やっぱりさすがだなって思う。
お父さんにもお母さんにも
きっとそんな時期があったんだ。
「あたしね、翔さんに嘘をついたの」
あたしが付いた小さな嘘。
でもそれは人を傷つける鋭い刃物となって
翔さんの胸を突き刺してしまった。
謝りたい、翔さんに。
「あたし、翔さんのところに帰りたい」
許してくれるかなんてわからないけど。
でもあたし、ちゃんとやり直したい。
翔さんとまた笑いあいたい。
「それがいいよ、柚子」
お父さんがそう言って笑顔を向けてあたしの頭を優しく撫でてくれた。


