年上王子様とのアリエナイ××①



「柚子・・俺」

「大丈夫、ごめんね」

ううん、違う。そんなんじゃ..ない


「大丈夫、じゃないだろ!」


そう言うとぐいっとあたしの腕を引っ張って

祐君にきつく抱きしめられた。

「祐・・くん?」

「俺、お前の事もっと知りたい。だからあいつやめて俺にしなよ」

耳元でささやく声があたしの心臓をドキドキさせる。

祐君でもあたしは・・


「だってあたしは」

「だから別れろよ!」

「冗談やめて..!」

「冗談じゃない。そんなに柚を悲しませる男なら、やめちまえばいい」



やめてしまえばいい・・

やめて・・しまおうか。

でも本当にそんな事

あたしには出来ない。


「ごめん、ごめんなさい!」

「柚子!!」

力いっぱい突き放して後ろから叫ぶ祐君の声にも振り返らずに
走り去った。