年上王子様とのアリエナイ××①



後ろから聞こえてくる祐君の声にも今は振り返ることが出来ない。

だって今泣いているところ見せたら

絶対に甘えちゃうもん。


でも


「ちょ、待ってって!」


がしっと捕まれた腕。

もう逃げることは出来ない。


「なんで?どうして追いかけてきたの」

「何でって当たり前だろ?あんなので先帰られたら、
俺変なこと言っちゃったかなって気にするし..って柚子!?」

「ふぇ..っく」


視界がぼやけてきて

ぽたぽたと地面に涙が落ちていく。


泣かないって決めたのに。


「柚子」

「ほんとは、わかってたのかも、しれない」

「柚子?」

「翔さん、があたしをどう、想ってるのか、なんて」


そうだよ、翔さんはただ単に人としてあたしを助けたくて

だから結婚したんだよ。


あたしとどうなろうと

翔さんには関係ないことだし

手を出す気もない・・・


知ってたのに

わかってたのに


いざ本当の事を知るとショックで


..ショック?あたしいつの間にか翔さんの事