空へ。‐夢の先‐

‐その頃‐



百合「ふぁ…、」


龍「………………」



龍とマネージャーの百合は、劇団の話をするために自身の事務所、スカイプロダクションに来ていた。



「町田、何あくびなんかしてるんだ。

もうすぐ社長がいらっしゃるんだ、気を引き締めろよ。


全く…そんなにのんきで沢木さんのマネージャーが勤まるのか…

沢木さん、ご希望があればもっと優秀な者を付けますよ?」



社長室のソファに座って小さくあくびした百合に
書類を持ってきた上司がキツめに投げ掛けた。



百合「あ、すみません…
ちゃんとします…」


申し訳なさそうに謝る百合。

その姿を見た龍がムッとする。



龍「…町田さんはよく仕事してくれてます。

そのせいで寝不足になってるだけで
責めるなら僕を責めて下さい。


お気遣いは嬉しいですが
町田さんがマネージャーでこれ以上ないほど助かってますから結構です。」


百合「沢木さん…、」


「…そうですか、失礼しました。」



上司が出て行くと百合は龍に向き直った。



百合「申し訳ありません…沢木さんに気を遣わせてしまうような…」

龍「町田さんは気にしなくていいよ

俺が言いたいこと言っただけだし」


百合「…あ、ありがとうございます…」


百合が小さくお礼を言うのが聞こえると
龍の表情はほんの少し緩んだ。




***


龍「町田さん、今日は助手席に乗って」

百合「え、そんな、いいです!私が運転しますから!」

龍「いいから。
たまには俺にも何かさせて」



どこか成二と似た、それでも優しい笑みを浮かべ
百合に言う。



百合「…ほんとにありがとうございます…、」



百合は、少し頬を染めてうつむいた。






─────────…

昼休み。


春花とも喜美ともアホ男子たちとも離れて
1人プールの近くでボーッとしていた。