空へ。‐夢の先‐

その声があたしの耳に届いた瞬間

あたしは我を失った。



紗姫「お前コラァ!!」


ガンッ!!


麻姫「いて…っ、」

父「紗姫!、」


紗姫「お前今なんつったか分かってのか!!?

調子に乗んのも大概にしろよガキが!!!」



蹴ったり殴ったりしたあと、あたしは麻姫の髪をわし掴みにして怒鳴り散らしていた。


バチンッ!!!



頬に走った衝撃。

あたしを殴ったのは父さんだった。



父「何やってんだ紗姫…!」

紗姫「…………っ!」



あたしはやっと、まともに戻った。

戻ったあと、静かに俯いている麻姫を見てゾッとした。



あたし、何した…────?


大事な妹に、あたしは何を…。




紗姫「麻姫ごめ…っ「もういいから」



あわててしゃがみ込んで、伸ばした手が麻姫の声によって止まった。



麻姫「…もういいからさっさと出てってくれよ、」


紗姫「……麻姫、」


麻姫「…もうお前の妹なんかうんざりなんだよ!!!!!」



麻姫の顔を見た瞬間、ドクン、と

衝撃が走った。


麻姫はリビングを出て自分の部屋へ戻った。



紗姫「……………、」


父「…紗姫…、」

紗姫「ごめんね父さん…明日学校だからもう寝るね」



あたしは、逃げるようにその場を去った。






部屋に戻ると、電気をつけずにベッドに寝転がった。


電気をつけたら、誰かに泣いてるのが分かってしまいそうだから。



あたし、ほんとにバカだ…。


腕で顔を隠して声を殺して泣いた。



ふと携帯に目をやると
チカチカと光って着信があったことを知らせていた。