空へ。‐夢の先‐

葛城「…ところでヒメ、何かあったの?」

紗姫「え?、」

葛城「何かちょっと疲れてるかな」



あたしが驚いて見つめると、カツラギはいつものようにニコッと笑いかけた。



葛城「違ってたらゴメンね」

紗姫「いや…、」



昨日、考えすぎたのかな…。

しかも顔に出てたのか…。

嫌な奴だな、あたし。



葛城「…ヒメは頑張ってるよ」

紗姫「え…?」

葛城「疲れてるのに一生懸命顔に出さないように頑張ってる。」

紗姫「……………」

葛城「いいよ別に、力抜けば?」


笑顔が、優しい。


どうしてあたし自身でさえ分からないことが分かるんだろう。

まだ友達になって間もないのに…
何で?

すーっと無意識の強がりが消えていくように
心が楽になった。




***



紗姫「じゃーねーカツラギー!!話聞いてくれてありがとう!!

クッキーとコーヒーもねー!!」


葛城「いいんだよそんなの!」


紗姫「よくねーよ(笑)!また来るねー!!」


数メートル先にいるカツラギに笑いかける。




葛城「……ヒメ!Have a nice day!」


紗姫「なにそれ!今"いってらっしゃい"は変じゃないー!!?」


葛城「俺の定番の挨拶!(笑)」


紗姫「何それ!変な挨拶!(笑)
またねー!」


葛城「おう!」




紗姫の背中を見えなくなるまで見送ると
カツラギは全部なくなったクッキーの袋を見て呟いた。



葛城「…今日の晩飯だったんだけどな、」



そのあと、凄く幸せそうに笑って




葛城「…まあ、いいか。」




誰にも聞こえない声でそう言った。




─────────…


カツラギと別れたあと、すごく気が楽になったあたしは高木高校の子たちが
遊びそうな場所に向かった。


何となく、今なら成二と話せる気がした。




紗姫(成二どこにいんだろ〜…)