空へ。‐夢の先‐

美樹と別れて、家に帰ったあたしは
寝る前に出逢った時に龍くんからもらった手紙を見つめて考えた。





きっと成二を立ち直らせることができるのは龍くんしかいない。



だったらあたしには

何ができるんだろう。



気持ちが、同じ痛みが分かるからこそ、一緒に夢を追ってみたいんだ。



あたしにできることは何?


あたしが、成二や龍くんのために

できること───。






─────────…

次の日の放課後。

みんなは用事があって帰ってしまった。


友達や家族と話していないときは、必ず成二のことが頭に浮かぶ。



高木高校に行きたいけど、なかなか行けず

ブラブラと歩いていたとき。



葛城「……ヒメ?」



聞き間違えることのない呼ばれたあだ名と声に、振り返った。



葛城「はい、」

紗姫「あ、ありがとう!…って何これ!すごい!」


葛城「…そう?」




ここはカツラギが働いている工事現場。

その端っこで座って待っていると、
仕事を終えたカツラギが缶コーヒーと

いかにも手作りといったようなクッキーが入った袋をくれた。



紗姫「すごい、人型だ!ちょーかわいい♪」

葛城「そんなに?」

紗姫「可愛いよー、カツラギの手作り?」

葛城「そうだよ、」

紗姫「すごいじゃん!あたし女子なのに作れねーよ」

葛城「俺も作れないよ。クッキー以外は、」

紗姫「そうなんだ、良かった(笑)」


相変わらずニコニコのカツラギは隣に座って
あたしの持ってる袋から1つ取って、
ポリ、と食べた。


あたしも、手に持ったそれをかじる。



紗姫「おいしいな〜」

葛城「そ?」

紗姫「うん!」


本当に手作りっていうおいしさ。


すごいなカツラギ!


紗姫「あたしもこれ、作りたい!」

葛城「じゃあ今度やり方教えるね」

紗姫「うん!」