空へ。‐夢の先‐

「この人が勝手に正義ぶってやっただけでしょ!放して下さいよぉ!」



逆上して怒る中学生が、まじで頭に来た。



紗姫「…てめぇ何様なんだよバカガキが!!!」



喜美「紗姫!!」

春花「紗姫だめ!!」


我慢できず、腹を殴ろうと拳を引いたとき。


ぐっと腕を掴まれた。



成二「……お前人に言ったこと忘れてんじゃねぇぞ、」


紗姫「…………!!」





“お前が何してんだよ!!せっかく劇団入んのに、”





今、あたし何しようとした?


今の行為は間違いなく


龍くんを裏切る行為───。




成二「……余計なことしてんじゃねぇよ、」


あたしの手を放すと

成二はさっさと去っていった。



春花「…紗姫、行こ」

喜美「うん、うちらも遅刻になっちまうから」


紗姫「…うん、ゴメンね」


春花「何謝ってんの、あたしもあの態度頭きたし、」

喜美「そうだよ、紗姫は別に悪くねーよ!」



となりを歩く2人は、笑ってくれた。


成二…、あたしのこと止めてくれたんだ。

あたし、バカだ。




となりを歩く2人と

記憶に残っている、龍くんに似た背中に


心の中で何度もありがとうと言った。




─────────…


それから数日。


記者会見と、入寮の日が近づく。
龍くんはあれから毎日成二のもとに向かい、説得しているそうだ。


成二、何で素直にならないんだろう。



授業中、教室から見上げた空に

あたしは問いかけた。





学校が終わり、あたしは高木高校へと足を運ぶ。


成二に会いにいくためじゃない。

この間のお礼はちゃんと言いたいけど、それは会えたら、てことで。



あたしが会いに行く理由は美樹ちゃんに、成二のことを聞くためだ。