空へ。‐夢の先‐

次の日。



春花と喜美と普通に学校に向かっていると、近くの路地で喧嘩しているのが見えた。



春花「何だあれ、」

喜美「派手にやってんなー」

紗姫「朝から元気っすねー……え!!?」


「「なに!?」」



重たい瞼を思いっきり見開いて
そらしかけた路地に目を戻す。



あのボコッてるほう…
明らかに…




紗姫「せ〜〜〜〜じぃぃいい〜〜〜〜!!!!!」

成二「!?、」



そう叫んで久しぶりの跳び蹴りを食らわせた。



「う、うわぁあ!!」



2人で倒れ込んだのを良いことに、やられていた男はフラフラになりながら必死で逃げ出した。



成二「…いってぇな!!お前何してんだよ!!」


紗姫「お前が何してんだよ!!
せっかく劇団入んのに、」


成二「入らねぇっつってんだろ!!!」


春花「紗姫!!無事!?大丈夫!?」

喜美「紗姫〜〜!!!」



紗姫「ああ、大丈夫大丈夫!」

成二「……………」


座ったままあたしと言い合ってた成二は急に黙り込んだ。


紗姫「?」


そんな成二を見ていると、その奥に中学生らしき男の子が見えた。



成二「………おい大丈夫か、」


「……こ、こないで下さい!!」


紗姫「………?」


「くそ…、こんな不良といるとこ誰かに見られてたら…」


ブツブツと独り言を言っては混乱している中学生。


成二「……………」


春花「…何このガキ」

喜美「はぁ、」



春花と喜美の呆れた声が聞こえる。

その意味はあたしにも十分分かった。



「あぁ…早くしなきゃ学校…」


急いで立ち上がって
走りだそうとする中学生の肩を掴んで振り向かせ、胸ぐらをつかんだ。



紗姫「何さっさと帰ろうとしてんの、礼は?」

「…は…?」

紗姫「“は”じゃねーよ」


きょとんとする中学生。何だコイツまじで。


今の態度じゃ、明らかに成二は何らかの理由でこのガキを助けたんだろう。


なのに何なんだ、一言礼すらないのかよ。