「俺もそうだけど、結婚してたらそう簡単に最後までいけないよ」 「……そうかな」 「だって相手に本気になられても困るでしょ。子供いるわけだしさ」 「うん、そっか……」 既婚者の言葉のせい? それとも健史の言葉だから? 妙にしっくりと納得できてしまう。 あんなに悩んできた事なのに。 胸が引き裂かれそうなほど苦しんできた事なのに。 「それだったら許せる?」 「え……?」 「旦那さんのこと」 健史の質問に答えが詰まった。