そんなことを言い合ってると、いつの間にか駅に着いてた。

 「あ、時間いっぱいある…。」

 「10分以上かよ。」

ふと、あたしの視界に、あるお店が目にとまった。

 「ね、ちょっとあそこ寄ってくるから、先行って、座ってて?」

 「良いけど…。あそこに何の用が…。」

 「いいから、いいから!!」



 「連、おまたせ!!」

 「なぁ?何のようだったんだよ、薬局なんかに?」

そう、あたしが寄ってきたのは、薬局だった。

 「え、何の用って…これに決まってるじゃん!!」

そう言って、あたしはシップを取り出した。

かなり効くのを買って来たから、出した瞬間、キツイ匂いがツーンと、鼻を通った。

 「何で…?」

 「連が、足に貼ってくれればいいと思って…。だって連、シップなんて家にないでしょ?」

今まで、捻挫すらもしたことないって言ってたもんね。

 「うん…ありがと。」

 「ううん…。」

優しい笑顔を見ると、胸がきゅって苦しくなる。

 (好き…)

 「連…。」

 「ん、どした?」

 「あたし…。」

プォーン!!

その時、ちょうど電車が来た。

 「あ、電車…。連、のろ!!」

 「え、あのさ。ひな、さっき何か…。」

 「もう、いいや。何言おうとしたのか、忘れちゃった。」

よ、よかった…。

危うく、良いそうになってしまった…。

今、言っちゃったら…今までの関係じゃなくなっちゃう…。

そしたら…

1on1も、出来なくなるし、今までみたいに話せなくなる。

それだけは、絶対にやだ。

だから…この気持ちは、今は言わない。

連が好き、なんて…言えないよ。