それから俺たちはたっぷり4時間遊んだ。


迷路、ニュース放送デモ、ミニチュア村、などと様々なディスプレイとアトラクション。


一つも見逃す事なく俺たちははしゃぎ回った。


ただ、時折ふと寂しそうな、不安そうな顔をする堀内を見かける事もあったけど俺が声をかけようとするときには既にいつもの笑顔に戻っていた。



待つって辛い。



自分で決めた事だし、貫き通したいけどこういうときにはもどかしさを感じる。



とりあえず今は何も考えないで楽しもうと思う。


それからくじら公園の時みたいに迷子と遭遇する、みたいな事件は何もなかった。



「...つ、疲れた」


「くじら公園の時もはしゃいだけど...今回も立派なはしゃぎっぷりだったね」


全部回ったあと俺たちはロッカーへ鞄を取りに行った。


時間は午後7時。



「腹減ったな」


「うん。さすがに晩ご飯の分までお弁当作って来てないしね」


笑いながら言う堀内はなんで俺の心をここまで穏やかにしてくれるのだろう。




「飯、食いに行くか」


「え、でも、疲れてない?帰らなくても大丈夫?」


「あのな、こう見えても俺は野球部員。それに...」


「それに?」




「俺がまだ堀内と一緒にいたい」