榊はフェンスにもたれるように座り、私もちょっと距離を空けて隣に座った。 「昨日はごめん」 「………私の方こそごめん」 「……香坂が俺の気持ちに応えられないのは分かったからさ、もう諦めるつもりだから。だから、その代わりってわけじゃないんだけど、香坂の好きな奴の話教えてよ」 「…………言いたくない」 「どうして?それぐらい聞いてもいいと思うんだけど」 一瞬、榊の目つきにたじろぐ。