ひとつの傘に二人で並んで歩くのは、距離が近くて妙に緊張する。 沈黙が続く中、雨は一層激しさを増す。 落ち着かない静かさだ。 「あのさ…」 「はい」 突然の榊の問い掛けにびっくりした声を上げてしまう。 「…緊張してる?」 「べ、別にしてないよ」 「俺はしてるんだけどな」 そう言って榊は照れたように笑う。 私は思わず足を止めた。