「え??」

「そこ、生徒会室だからそこまで歩いて」


すぐそばの部屋を指差している


「え??」

「スリッパ取ってきてやるから」

「え!!」


助けてくれるの??

ヒールの折れたパンプスに再び足をいれて、不恰好にえっちらおっちらと歩く

新田くんは親切にも腕を支えてくれていた


部屋の鍵をポケットから取り出してドアを開くと、優しくアタシの背中を押す


歩きづらくて仕方ない……

中に入ったアタシは一番近くの机に腰掛けた


「机に座るな、椅子に座れ」

「は、はい!」


どっちが年上なんだか……

そのまままた部屋を出て行く新田くん

スリッパ…持ってきてくれるのかな??

それとも職員室に行って「あの教育実習生は、ホステスをしている夜の女です!」って言いに行くのかな?


……そしたらもう学校にはいれないな……



もやもやもやもや考えをめぐらせていると、再びドアが開いて新田くんが入ってきた


何も言わず目も合わさずにアタシの足元にスリッパを置いてくれる



「ありがとう……」

「昨日の礼」



無愛想な態度に相反して義理堅いことを言われて、アタシは目を丸くして彼の顔をキョトンと見つめる

スリッパに足を入れると、脱いだパンプスを持って立ち上がった