「もう今週で実習終わり?

ずっと真木先生に手伝って欲しい」

午前の授業が終わって、田中先生は職員室へ戻る廊下を歩きながら言った


「アタシなんかでお役に立てますかね?」

「そりゃもう!」


二人でクスクス笑う


「アタシも、早く先生になりたいです」

「なれるよ、すぐに」


職員室のドアをあけようとすると中から誰かが先にドアを開けた

そこから出てきた誰かとぶつかりそうになって慌てて立ち止まる


「ごめんなさい」


ととっさに謝って、目の前に立つ姿を見上げた


かずま……


携帯電話を片手に険しい顔をしている



職員室に用事?なんだろう……


不思議に思いながら席に戻ると、携帯がメール受信を知らせるランプを点滅させていた



FROM:新田かずま
TITLE:
本文
「真木先生とは以前から知り合いか」
って聞かれた
多分、誰かが俺らのこと見たっぽい




え?


何度も読み直す

誰かが見たって……いつ、どこで??


午後の授業はおかげで気が気じゃなかった

どこで何してるアタシ達を見られたんだろう


テストの答案用紙を順番に返していると、取りに来た小沢さんがアタシをにらみつけながら手から奪い取っていく


……にらみつけたいのは、アタシだってば


いつまでもアタシをにらみつづける目を見返す


彼女は舌打ちをして席へと戻っていった