目の前には不安そうな、なんともいえない表情をした伊織。 あちゃ~~……。 こりゃマズイでしょう……。 伊織から、男にだらしないと思われてるあたしに、 オンナにだらしないと思われてる部長さん。 そんな二人が出かけるだなんて、伊織にしてみたら不安で不安でたまらないと思う。 きっと部長さんは、私の誘拐を諦めるだろう。 そう、思ったのに。 「ビーフシチューの火加減、頼むよ♪」 ってニ~ッコリ笑うと。 部長さんは私の腕をグイッと引っ張って、ポケットからBMWのカギを取り出した。