昔のアイツはカワイイ、カワイイ俺の部下。


頼りになるなと思うコトはあっても、アイツを怖いと思うことはなかった。






だけど…、今の藤堂は怖いと思う。






アイツは婚約者に裏切られ、高宮を俺に奪われ、不幸のドン底にいたハズだ。





そんなメにあったら人間不振になって自暴自棄に荒れてもいいようなモノなのに…。
藤堂はこの3ヶ月、そんな片鱗を一切見せなかった。








いつも明るく穏やかで
柔らかい笑顔を向けながら高宮を見守っていた。








あの視線を初めて見た時。

俺はコイツに勝てないと初めて思った。









俺は…あんな風に高宮のコトを愛せない。

あんなに深い愛を俺は知らない。








アイツは…成長した。






自分に起こった数々の不幸を不幸だとは思わず明日への自分の糧に変えて行くことで…、藤堂は人間的に大きく成長を遂げたんだ。