二人で肩を並べ、敷地内を散策する。 「たまには良いですね、こうして外をゆっくり散歩するのも」 黒崎さんは嬉しそうで、私もつい微笑んだ。 このままずっと元気でいてくれればいいのに。 私は心から願った。 その思いが通じたのか、黒崎さんはそれから暫く病状が悪化することはなかった。 ひょっとすると、もう治るんじゃないか。退院して復帰できるんじゃないか。 そんな都合の良い解釈をしていた時だった。