あたしが鞄を持とうとすると、龍の手が横から延びてきて鞄を持っていた。 「鞄くらいあたしが持つ!てか、あたしの鞄だし!」 「いいから」 龍はそう言いながら病室を出ていった。 あたしもその後を追うように病室を出た。 「あっ、龍待って!お金払ってくる」 「払わなくていい」 「何言っちゃってんのよ、払わなきゃダメに決まってんでしょ」 「いいって。ここ親父の病院だし」