それから少しして龍は口を開いた。 「お前は、俺が怖くないのか…?」 それを聞いて「何言ってんの?」と思った。 「龍ってバカだね」 「は!?」 「…怖いわけないじゃん。怖かったらこんな風に喋んないよ。 それに、龍はこの子の命の恩人なの。 なのに、怖いなんて思うわけない」 あたしはしっかりと龍の目を見ていった。 すると龍は再び目線を落とし、聞こえるか聞こえないかくらいの声で「さんきゅ」と言った。