“今度、教えてほしいんだ ……口説き方を” そんなこと、俺の口から言えるワケがない。 ため息は、騒がしい廊下に消えていく。 一時間目は数学だ。 ……頭回るかな… 教室に入り席につく。 窓側の前から三番目。 さわさわと、ちょっと温めの風が吹き抜ける。 もうすぐ夏だ。 暑くて 熱くて 眩しいものになればいいのに… 太陽よりも赤くて眩しいキミを もう一度、目に焼き付けたい。 俺をもっと 知ってほしい。 たとえ…気持ちは俺に向いてないとしても… .