女子生徒が走り去ってから、また二人で歩く。 さっきから、静かになってしまった中川さん。 ……何かあったのだろうか… 「中川さん?着いたよ?」 「え……」 上の空だったのか、目をぱちくりさせながら辺りを見渡す。 …やはり、何か考え事をしていたみたいだな。 ドアのところ辺りで立ち止まり、ペンキを渡す。 「ぁ、ありがとうございます。 スミマセン、持ってもらっちゃって……」 律儀にお礼を言って小さく頭を下げる彼女には、他の子にはない魅力を感じる。 .