ドアを開けようとして伸ばした手を 振り返って、ピンクのペンキを奪った。 驚いた表情の彼女に、微笑みながら言った。 「2つは大変でしょ? 1つ持ってあげる。」 何か言いたげな感じに見つめてくる。 が、何を言ってくるワケでもなく 「ぁ、ありがとうございます…」 と小さく呟いた。 おどおどしている彼女が可愛いと思うのは 誰もが感じることではないのだろうか…… 「せ、先輩。やっぱりあのっ…」 そんな声が聞こえて、振り向くと 真っ直ぐにこちらを見つめている中川さんと目が合った。 .