その苛ついた心情が指先を伝わったのか 無意識にドアを力任せに開けていた。 ―――バァンッ!! うゎ。今の音…ヤバかったかも。 自分でやっておいてびっくりした。 ったく、俺は何を………… と、一人 力なく息を吐いたとき ちょこん と座っている誰かを捉えた。 「………ぁっ」 「……」 視線が絡まって、ドキリと波打つ心臓。 手に汗が滲む。 ……な、なんでいるんだ? いつも通りの眼鏡をかけて 肩を縮ませて座っている人物は さっき、頭に浮かんできた…… 彼女だった。 .