「あっ、おい…っ。菜緒っ!!」
今まで生きてきた中で、一番ダサかった。
ただの八つ当たりで逃げ出して、こんなことしても、どうにもならないってわかっているのに。
走って、走って、走って。
部屋に閉じこもった。
初めて親太郎に怒鳴りつけた。
初めて親太郎に、困った顔をさせた。
初めて、心の成長に気付いた。
怖かった。
親太郎と高校が離れて、あたしの知らない時間を過ごしていくのかなと思うと、すごく怖かった。
あたしの知らないところで、好きな人ができて。
あたしの知らない友達と笑い合って。
あたしの知らない学校行事を楽しんで。
そんなの、絶対嫌だった。


