曲が進むにつれて、親太郎の顔に少し疲れが見え始めた。
1曲目のように声は出せなくなっていて、所々拓海くんがフォローで歌ったりした。
それでも、会場の盛り上がりは落ちなかった。
みんなで、親太郎の背中を押した。
親太郎も、最後の力を振り絞るように声を出した。
どんなにかすれた歌声でも、美しいと思ったのは、きっとあたしだけではないと思う。
親太郎の、音楽に捧げる想いが、痛いくらいに伝わってくる。
親太郎は、4曲を歌い終わった。
車いすに体重を預け、少し猫背になった。
後ろの席から、看護師さんが走ってきた。
でも、舞台にはのぼらず、そっと親太郎を見守っていた。
次はいよいよ、あたしの出番だ。
舞台の階段をのぼり、親太郎のそばにしゃがみこんだ。
あたしが舞台に上がってくることを知らなかった親太郎は、ひどく驚いた様子で目を丸めた。
「親太郎。誕生日おめでとう。これは、あたし達からの誕生日プレゼントね」
あたしはそれだけ言うと、舞台の端に用意してあったピアノに腰を下ろした。


