あたしはすぐに会場に向かった。
一番前の、あたしの特等席。
やっぱり、ここから見るのが一番いい。
親太郎の車いすを押してくれたのは、叶くんだった。
スタンドマイクの前で車いすを固定し、親太郎の口元に合わせてマイクの高さを調節してくれた。
会場はすでに熱気で溢れていた。
みんなの、ライブを盛り上げようとしてくれいる気持ちがとてもよく伝わってきた。
親太郎は、しばらく会場を見渡していた。
目が、微かに潤んで見える。
「こんにちはー!! Aile D'angeでーす!!」
親太郎の声が会場に響いた。
少し声は細いけど、会場を揺らすには十分だった。
わーっ!! と、みんなが答えてくれた。
「今日は寒い中集まってくれて、ありがとう!!」
また、わーっと盛り上がる。
親太郎は、目を閉じてその歓声を全身で感じていた。
親太郎、がんばれ。
がんばれ。
がんばれ。


