学校までは、親太郎のおじさんが車を出してくれた。
車内で、親太郎の意気込みを聞いてみる。
「親太郎さん。いよいよ本番ですが、今のお気持ちを教えてもらえませんか?」
透明のマイクを親太郎に向けた。
親太郎はその透明のマイクに口を近づけると、『そうですねー』と、意気揚々と答えた。
「俺の歌で会場をわかせたいですねー。寒さなんて吹き飛ばして、Aile D'angeがいち早く春を届けたいと思います!!」
「おー!! すごい意気込みですねー」
あたしが言うと、車内にどっと笑いが起こった。
「でもまぁ、全身で楽しめたら、それでいいかな」
親太郎は、あたしにしか聞こえないような小さな声でそう言った。
あたしは親太郎の目を見て、『そうだね』と、同じく2人だけで会話をした。
会場に着くと、もうすでに集まってくれている生徒がいた。
そのほとんどは1年生と2年生で、3年生の姿はほとんどなかった。
やっぱり、たとえ30分といえども、受験生には貴重な時間だもんね。
仕方ないか……
「おいっ!! 親太郎っ!!」


