看護師さんが走ってくると、手際良く止血をした。
血で汚れてしまった枕を取り替えて、親太郎の顔もキレイにタオルで拭いてくれた。
もしかして、あたしの知らないところで、こんなことはよく起こってたの?
だとしたら、親太郎はもう気づいてるはずだ。
自分の命が残り少ないこと。
それなのに、親太郎はあたしの前ではずっと笑ってた。
ずっと『大丈夫だ』と、『勉強頑張れ』と、あたしを気遣っていた。
親太郎……
「驚かせて悪い」
あたしは、涙を拭いながら頭を振った。
「制服、汚れちまったな」
親太郎はあたしの制服に手を伸ばし、少しでも血を取ろうとした。
「親太郎……」
「ん?」
「どこか、辛い?」
嗚咽をこらえながら親太郎に聞いた。
でも親太郎は、微笑みながら首を横に振った。
「平気だよ。それより、どうして戻ってきたんだ?受験生は早く帰って勉強しないと」
親太郎は、涙で頬に張り付いたあたしの横髪を取りながら言った。


