親太郎にもう寝たいと言われ、あたしは明日も来る約束をして病室を後にした。
明らかに弱っていってる親太郎。
少し動くだけで、ああやってすぐに疲れて横になる。
まさか。 なんて、嫌な考えがすぐに浮かんでしまう。
そんなわけない。
大丈夫。
きっとまた、乗り越えて戻ってくる。
大丈夫――…
自分にそう言い聞かせた、その時。
廊下を歩いている親太郎の担当医を見つけた。
何やら書類を見ながら歩いていて、あたしに気づいていないようだった。
「斎藤先生」
あたしは、先生を呼びとめた。
ようやく顔を上げた先生は、『キミは……』と、一瞬考え込んでいた。
でもすぐに表情を明るくした先生。
「菜緒ちゃんか。
今帰り?」
はい。 と頷く。
「もう外は暗いから、気をつけて帰るんだよ」
先生に言われたけど、今度は頷かなかった。
あたしの沈む表情を見て、首を傾げる先生。
聞くなら、今しかない。
きちんと、聞いておかなければ……
「先生……。
親太郎は…あと、どのくらい生きられますか?」


