なんか、胸騒ぎがする。
考え過ぎ?
今回は本当にただの熱?
大丈夫だよね。
雪が降りそうな寒い冬でも、風邪ひかなかったんだから。
大丈夫だよね……?
空を見上げると、大きな入道雲がふんわりと浮かんでいた。
小さな飛行機も見える。
額から流れる汗を拭えば、セミが木から木へと移り、羽を震わせあたしの鼓膜を刺激した。
ダメだ。
セミの鳴き声のせいで、よけい不安が増してきた。
学校にいる間中、ずっと気が気じゃなかった。
いつもなら電源オフにする携帯も、今日だけはバイブにしてスカートのポケットに忍ばせた。
授業中、先生に見つからないように何度も携帯を確認した。
まだ大丈夫か。
あたしは、携帯と右腕のミサンガを握りしめ、電話がかかってこないことを祈った。


