目を丸めるあたしに、親太郎は優しく微笑んだ。
「片山のピアノ、すげーうまいじゃん。音楽教室に通うより、全然いいと思うよ」
そう言ったあとに、『俺はね』と付け足した。
「無理……じゃ、ない?」
「うん」
「あたしにも、できる?」
あたしが確認するように親太郎に聞くと、親太郎はハっと笑った。
「菜緒、俺達のモットーは何だった?」
そう親太郎に聞かれ、あたしの中に強い風が吹いた。
ああ……
そうか……
そうだよね。
“夢はでっかく。 目標は高く”
一番忘れちゃいけないことなのに。
できるよね。
あたしには、音楽バカの家庭教師がついてるんだもん。
みんながいるんだもん。
挑戦したって、バチは当たんないよね。
あたしは親太郎と2人で、将来のあたし達を想像してテンションを上げた。
なんだって、やればできる。
やればできるんだ。


