太股の間に両手を挟みモジモジ照れていると、いきなり親太郎に用紙を取られ、あたしの代わりに親太郎が記入していった。
その文字を見て、あたしは目を丸めた。
「お、音大っ!? このあたしがっ?」
「なんだよ、不満?」
「不満っていうか……いやいやいやいや。 無理でしょ?」
「どうしてだよ」
「だって、あたし音楽の事なにも知らないんだよ?」
「今から勉強すれば大丈夫だろ」
「そんな簡単にできるわけないじゃん。そもそも、あたしは得意なものもないんだよ? 親太郎みたいに歌が歌えるわけでもないし、高橋くん達みたいに楽器ができるわけでもないし。こんなあたしが大学行ったら、みんな『え?』ってなるじゃん」
早口でまくしたてると、親太郎は当たり前の顔してこう言った。
「練習すればいいじゃん」
「は?」
何を軽々と……
「得意なことがないなら、練習して得意にすればいいじゃん」
「だからっ、そんな簡単にできるわけ――」
「教えてくれるヤツはたくさんいるじゃん」
……え?
「俺とか、高橋達とか。あと、片山、とかさ」


