親太郎は、颯太くんのお母さんの肩を支えた。
「わかりました」
親太郎の声は、ハキハキとしていた。
「颯太、一緒に歌おう。颯太との思い出、作りたいし。颯太の歌、俺も聞いてみたい」
親太郎が言うと、颯太くんはゆっくり頷いて口角を上げた。
親太郎はオルガンの蓋をあけ、音を鳴らした。
久しぶりに鍵盤を叩く背中は、少し緊張しているようだった。
椅子に座って、一度颯太くんを振り返った。
「颯太。何の歌がいい?」
「………」
颯太くんは、しばらく目を閉じて呼吸を繰り返した。
「……親太郎の…思い出の曲…がいい…」
「俺の、思い出の曲?」
颯太くんは、瞬きをしながら頷いた。
「俺の、思い出の曲か……」


