「…一度、聞いてみたくて……親太郎の歌…聞いてみたい……」
「颯太…おまえ……」
「お願い……親太郎…歌って……」
颯太くんは微笑んで、オルガンを指差す腕をゆっくり下ろした。
その場で立ち上がった親太郎は、颯太くんの両親と、あたしを見た。
「三浦くん。どうか、颯太に歌を聞かせてやってください」
颯太くんのお母さんが頭を下げた。
「この子…目を覚ました瞬間、“親太郎の歌が聞きたい”って言ったんです……。“一度でいいから、一緒に歌ってみたい”って……」
……颯太くん。
「この子の……今の、“夢”なんです……どうか…その“夢”を、叶えてやって下さい……」
また頭を下げたおばさんの瞳から、大粒の涙がこぼれた。


